行政書士資格塾・独学講座 第10回

2015/5/30 更新

法令等>行政法理論

 それではみなさん、行政書士資格塾・独学講座の第10回目の講義を始めます。行政法です。平成27年度本試験では、行政法(地方自治法を除く)から択一式で16問、多肢選択式で2問、記述式で1問出題されました。行政法は範囲が広く難しいです。行政書士試験の多くの受験生が法令科目の中で一番苦手とするものの一つです。この行政法の理解なくして行政書士試験の合格はありえないと言っても過言ではありません。

 では何故、行政法は難しいと感じるのでしょうか。それは、範囲が広いこと、私たちの生活になじみが薄いこと、暗記も必要であるという理由などからです。これらの課題を頭の片隅に置きながら行政法を勉強して下さい。
  そこで、今回は行政法の全体構造を理解できるようにします。全体を理解して、今どこを勉強しているのか、この分野は暗記が必要なのか、それとも条文の確認が必要なのか、判例の確認が必要なのかなどの判断ができれば行政法は理解しやすいです。

行政法全体図

 全体図について説明します。この全体図はあくまでも行政書士試験の行政法を理解するためのものです。私独自の分類ですので、普通の学校などでは通用しません。笑われます。でも、この全体図が、行政法を理解する手掛かりになるものと確信しています。

  1. 行政法を大きく「行政法理論」、「三大法」、「国家賠償法」に分けます。
  2. 「行政法理論」は、特許、附款などの用語の理解と暗記が必要です。理解と共に、正しいか正しくないか判断できるように暗記も必要です。但し、関連する法律として、「国家行政組織法」「行政代執行法」が含まれます。
  3. 「三大法」というのは、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法を指します。関連のある法律です。これらの法律は、条文の確認が中心です。
  4. 「国家賠償法」に関連するものとして「損失補償」があります。また、損失補償は、行政法理論にも一部含まれます。
  5. 国家賠償法、損失補償、行政事件訴訟法では判例も出されます。また、国家賠償法、行政不服審査法、行政事件訴訟法は合わせて「救済三法」と呼ばれます。

 つまり、暗記すべきものは暗記に専念する、条文が中心であるものは条文をこまめに確認する、判例が必要なものは判例の結論と理由を確認するのです。行政法全体図のどこを今勉強していて、どのように出題されるのかを考えながら勉強して下さい。

 行政法理論の勉強については、「国家試験受験のためのよくわかる行政法」を案内しています。「うかる!行政書士 総合テキスト」もよく整理してあります。最初に「〜よくわかる〜」を読んで、後に、「うかる〜」を読みながら過去問で確認するという方法が効率的です。最終的に、行政法理論では、「暗記」が必要です。

 下記のまとめは、「行政法理論・ポイント15」です。

分野 行政法総論・ポイント15
行政機関 □ 諮問機関の意見・勧告は行政庁の意思決定を拘束しない。
□ 参与機関の意見・議決は行政庁の意思決定を拘束する。
権限の代理・委任 □ 権限の代理のうち、授権代理とは被代理庁(代理される行政庁)の授権(権限の付与行為)によって代理関係が発生するもので、権限の一部についてのみ代理が可能である。また、被代理庁は権限行使に関して代理者を指揮・監督できる。
□ 権限の代理のうち、法定代理とは法定事実(病気など)の発生により代理関係が生じるもので、権限の全てについて代理が可能である。また、被代理庁は代理者を指揮・監督できない。
□ 権限の委任では、受任者は受任権限を自らの権限として行使し、その法律効果は受任者に帰属する。委任をするには法律の根拠が必要であり、外部(国民)への表示が必要である。一方、代理ではその法律効果は被代理庁に帰属し、法律の根拠も国民への表示も必要ない。
行政立法 □ 政令、省令等を合わせて法規命令というが、法律の委任があれば法規命令に罰則を設けることができる。
□ 通達とは、上級行政機関が下級行政機関に対して発する命令である。よって、行政組織内部のみを拘束し、一般国民は拘束されないので取消訴訟の対象にならない。
行政行為 □ 準法律行為的行政行為は公通受確(証、知、理、認の4つ)で、行政庁に裁量権がなく附款を付けられない。この文章は棒暗記して下さい。
□ 附款が限界を超えて違法・無効である場合で、附款が行政行為の重要な要素であるならその行政行為全体が違法となる。重要な要素でないなら附款のない行政行為として有効となる。
□ 公務員でない者がした行政行為は原則として無効である。事実上の公務員の場合は有効とすることがある。
□ 心身喪失中の行政行為や強度の脅迫による行政行為は無効であるが、詐欺・強迫または賄賂に基づく行政行為や錯誤に基づく行政行為は取り消すことができる行政行為である。
□ 行政行為の取消は、処分庁、監督庁、裁判所ができるが、撤回は処分庁のみできる。
□ 国民に義務その他の不利益を負わせる行政行為(侵害的・負担的行為)の取消・撤回は原則として自由にできるが、受益的行為(国民に利益を与える行為)の取消・撤回は自由にはできない。
行政罰 □ 砂防法にのみ規定のある執行罰は、将来に向かって義務の履行を強制する手段であり、行政罰は過去の義務違反に対する制裁である。よって、両者は性質と目的を異にするので併科は可能である。
□ 行政上の秩序罰である過料(あやまち料)は、刑法総則や刑事訴訟法は適用されず、非訟事件手続法によって裁判所が科す。地方自治法に基づく過料もある。
 

 以上で、第10回目の講義、法令等>行政法理論は終りです。次回は、損失補償と国家賠償法に入ります。

 行政書士試験は、普通の人が、正しい方法で人並以上の努力をすれば合格できます。どんどん先へ進みましょう。