行政書士資格塾・独学講座 第24回

H27/8/23 更新

直前3か月の活用の仕方(直前アドバイス)

 直前3か月の活用の仕方についてアドバイスします。
  試験に合格する為の対策として、過去問を中心に出題傾向に沿った勉強をすることは効果的です。それともう一つ、不合格になる人、つまり多くの受験生の弱点を見つけ、その対策を講じることも同じく有効だと考えます。そこで今回は、不合格になるパターンを次の3つに絞り、その対策を講じます。

 不合格パターン1 一般知識等で、基準点の4割をクリアーできない。
 不合格パターン2 行政法が苦手である。
 不合格パターン3 記述式問題で稼げない。

 上記の3項目がクリアーできれば、限りなく合格に近づきます。
  それでは、それぞれのパターンについて対策を記述して行きます。あとは皆さんが、これを信じて実行できるかどうかの話です。

 不合格パターン1 一般知識等で、基準点の4割をクリアーできない。

 平成12年度以降の行政書士試験では、この不合格パターン1で不合格になる受験生が一番多いものと思われます。正式に発表になった数字ではありませんが、平成12年度の行政書士試験で、受験生約44,000人のうち、約30,000人はこの基準点でアウトだったそうです。つまり、受験生の3人のうち2人は、一般知識等の基準点(当時は5割)がクリアーできていないということです。一方、実際の合格者は約3,500人ですから、不合格者約40,500人では、4人のうち3人は一般知識等で討ち死にしているということになります。
  では何故、このような結果になるのでしょうか。それは、一般知識等は範囲が広く実力が付くまで時間がかかるということです。一方、法令科目は勉強すればするほど力が付きます。極端な話、法令科目は3か月あれば何とか間に合います。という訳で、多くの受験生が「何とかなるだろう」と一般知識等を後回しにして、法令科目に力を入れています。まぁ、当然といえば当然です。人間誰しも楽なもの、面白いものを選びます。しかし、いくら法令科目に力を入れても、一般知識等で基準点の4割をクリアーできなければ、無駄な努力になってしまうのです。
  以上の結果を頭に入れながら、一般知識等の勉強に力を入れて下さい。それでは、中味に入ります。 

 一般知識等は、どこから何点稼げば効率的か。 

 一般知識等は全部で14問出題されます。14問のうち4割、つまり6問は正解しないと、いわゆる「足きり」で不合格となります。
 また、一般知識等の出題内容は、「政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解」とだけ、試験案内には記載されています。以前、法令課目として出題のあった「行政書士法」「戸籍法」「住民基本台帳法」等についての記載はありません。よって、これらの元法令科目については出題されても1問でしょうから、無視してもよいでしょう。
 一方、一般知識等で半分は正解できるような対策は必要です。政治経済等は6問出題なら3問正解を、情報通信等は5問出題なら3問正解を、文章理解は3問出題なら2問正解を目指すべきでしょう。結果として、14問中、8問前後正解できれば、合格基準(試験全体の6割正解)は確実に達成できます。

 今からでも、文章理解はどうにかなるのか。

 試験まであと3か月となった時点で、国語の文章理解力をアップさせるのは厳しいものがあります。しかし、全く諦めることは合格自体を諦めることになります。そこで、長い文章と試験問題に慣れることに主眼を置いて下さい。長い文章に慣れておかないと、他の問題全てに悪影響を与えます。今後も、社説を毎日2回読むことを継続させて下さい。
  それと、本試験の問題と似たような問題をたくさん解くことです。文章読解力の問題のパターンは4つぐらいです。1.文章配列問題 2.穴埋め問題 3.全体の大意問題 4.指示している内容問題などです。それぞれのパターンの問題について最低限のテクニックを身に付けることです。文章配列問題なら、同じ語句が出ていたら繋がる可能性が高い、「それ」などの指示語はどれを指しているか、「しかし」などの接続語に注意などです。穴埋め問題なら、解答例を見ずに先に自分で考えてみて、それと似た選択肢があればそれが正解の可能性が高いということです。全体の大意問題なら、最後のまとめ部分に注目するです。指示している内容問題なら、同じことを別の表現で書いていないか捜してみることです。あとは、このテクニックを実際の問題に当てはめてみて下さい。テクニックだけで解けたら儲けもんです。

 公民や情報関係は最後の追い込みが可能だ。

 時事用語などの公民(政治・経済・社会)や情報関係なら今からでも充分間に合います。新聞ダイジェスト社から「最新時事用語&一般常識」が出版されます。これを徹底的に暗記すれば、3点ぐらいはアップしそうです。

 不合格パターン2 行政法が苦手である。 

 受験生の多くが行政法を苦手としています。その理由は、第10回の行政法で説明しています。この行政法を何とかクリアーしないと合格可能性は極端に低くなります。地方自治法を除く行政法は13問以上の出題可能性があります。行政法を諦めるのなら行政書士試験合格も限りなく無理でしょう。行政法を得意分野にするんだという強い意志で勉強する必要があります。

 先ず、全体像を把握する。 

 行政法の勉強の基本は先ず、行政法の全体像を把握するということです。第10回の行政法でご確認下さい。私は行政法を「行政法理論」「三大法」「国家賠償法」に分けています。三大法とは、「行政手続法」「行政不服審査法」「行政事件訴訟法」の3つです。この3つの法律から各複数問出題されます。そして、出題範囲はほとんどが条文です。だから、条文をこまめに確認さえすれば正解できます。過去問や予想問題で出てきた条文を確認し、その条文の前後もついでに確認しておきます。前回30条が出たら、次は29条か31条が出ます。同じく、1項が出たら次は2項が出る可能性が高いです。出た条文だけ確認してもあまり意味がありません。ただ、行政事件訴訟法だけは判例も出ます。
  行政法理論は行政用語が中心です。行政用語とは、「特許」「負担」「取消しと撤回」などです。これらは暗記しないとどうしようもありません。反対に暗記さえしておけば正解できます。行政法理論の中で出てくる法律は、「国家行政組織法」「行政代執行法」です。これらは条文があるので、条文をこまめに確認しておくことです。確認の仕方は行政三法と同じです。
 国家賠償法では判例が出てきます。そして、国家賠償法に関連するのが「損失補償」です。損失補償でも判例が出てきます。結果的に、行政法で判例が出てくるのは、行政事件訴訟法、国家賠償法、損失補償の三分野です。それと、行政事件訴訟法、行政不服審査法、国家賠償法の3つを合わせて「救済三法」と呼んでいます。

 分野ごとで勉強方法が異なる。 

 結論として、行政法の全体像を理解して、今どこをやっているのか確認しながら勉強するということです。そして、暗記すべきものは暗記に専念する、条文の確認が必要なものは可能な限り条文を確認する、判例のチェックが必要なものは判例を確認するのです。それぞれの分野で勉強の仕方が違うのが行政法なのです。1つのパターン(例えば暗記)だけで行政法の全てをマスターしようとすると何が何だかさっぱり分からなくなるだけです。
  基本テキストは「プロゼミ行政法」で、参考書は「うかるぞ行政書士」です。ただ、プロゼミは、古い記述の部分があるので注意が必要です。行政法はやり方さえ間違わなければ得意分野にできます。

 不合格パターン3 記述式問題で稼げない。

 平成18年度より、記述式は40文字程度で解答させることで難問化し、配点も1問20点となりました。これは択一式の5問分です。よって、記述式で極端に点数が悪いと致命的です。悪くても半分は死守しましょう。記述式の勉強の基本は択一式の問題と法令用語です。択一式の問題が解けなければ記述式の問題は解けません。よって、択一式の問題を解きながら、この法令用語は記述式に出そうだなぁといった注意が必要です。記述式の勉強として唯一必要なものは、書く練習をするということです。用語が浮かんだとしても、誤字で書いたら不正解になってしまいます。国語の漢字の書き取りと同じです。また、書く練習をしておくと、手が用語を覚えていることがあります。つまり、手が覚えるぐらいまで書く練習も必要だということになります。
  では、どの用語を覚えたらよいかですが、お勧めのテキストは「うかるぞ行政書士40字記述式問題集」です。このテキストは、法令科目全体のまとめにもなっています。一方、全部の法令について記述式対策が必要という訳ではありません。出る可能性の高い法令は、憲法、行政法(地方自治法を含む)、民法、基礎法学です。また、条文と判例の法令用語を含む問題が出される可能性が高いです。
  本試験直前一月前ぐらいまでに、過去問や予想問題、模擬試験で出された記述式の問題をノートにまとめて下さい。書く練習をしながら、用語を絞り込んで最終的に100個ぐらいにします。最後はひたすら書く練習をして暗記に努めるという、たいへん原始的な方法をお勧めします。


直前2か月の活用の仕方

 直前2か月の活用の仕方についてアドバイスします。直前2か月になると受験生の多くはだんだん焦ってきます。あれもこれもしなければならないのは事実ですが、ある程度開き直って勉強する所を絞ることも大切です。直前10日前までに次のことをやり切って下さい。

  1. 問題演習を中心に勉強する。
  2. 公開模擬試験を受験し、自分の実力・弱点を確認する。
  3. なかなか覚えられない所、よく間違う所を「間違いノート」(直前ノート)にまとめる。

 特に、3の間違いノートはお勧めです。人間、なかなか覚えられない所、よく間違う所が決まってきます。これはもう最後は強引に暗記するしかありません。それを、問題演習をしながらまとめるのです。バインダー式のノートの方がまとめやすいでしょう。試験10日前までにまとめて、最後の10日間はこのノートの暗記に努めます。そして、試験会場に持って行き直前の1時間でこのノートを見直します。よって、私はこのノートを「直前ノート」とも呼んでいます。ですから、余り分量が多くても意味がありません。1時間で見直しができる分量、だいだい20〜30ぺージでしょう。このノートはすごく効果があります。ぜひ実行してみて下さい。

  その間違いノートの作り方を簡単に説明します。書き方のポイントは次の3つです。最初から完璧なものを望むのではなく、追加したり書き直しながら最終的に20〜30ページの分量にまとめて下さい。

  1. バインダー式のノートを利用する。
  2. 1ページには、1つの法律又は分野だけまとめる。
  3. 追加しやすいように空け気味に書く。

直前10日間の使い方

 さて、直前10日間の使い方です。次の3つは必ず実行して下さい。

  1. 本試験の時間割に合わせて生活する。特に昼寝や夜更かしはしない。
  2. 新しい問題には手を出さない。それまでにやった過去問や模擬試験の問題を繰り返し解く。
  3. 間違いノート(直前ノート)を繰り返し暗記する。記述式用の法令キーワードを100語ぐらいに絞り、書きながら暗記する。

試験当日の最後のアドバイス

  1. 食事は食べ慣れているものを軽めに取り、飲み慣れているもの(お茶など)を軽く飲む。
  2. 受験票、シャープペンシル2本(鉛筆なら3本)、消しゴム2個など忘れ物がないか確認する。
  3. 試験会場へは公的交通機関を利用し、1時間以上前に着く。直前まで間違いノート(直前ノート)で暗記に努める。法令キーワードの書く練習をする。
  4. 試験開始後は問題全体に目を通し、得意な分野又は記述式問題から解く。
  5. 「正しいものはどれか」という問題には○、「誤っているものはどれか」という問題には×を問題文に大きく書いて解く。

 以上で、行政書士・独学講座の講義は終りです。途中見直しながら、追加修正をすることがあります。勉強に迷ったときなどには見直して下さい。あとは、実行あるのみです。

 行政書士試験は、普通の人が、正しい方法で人並以上の努力をすれば合格できます。合格まであと一歩です。みなさんの健闘を祈っています!