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2016/3/21 更新

平成28年度試験に向けて(27年度試験を振り返って)

1.平成27年度行政書士試験の合格率は、13.1%でした。最近10年間では、最も高い合格率となりました。高かった理由の一つは、問題16が出題ミスで、全員正解扱いになったことがあります。特に問題16は、受験生の多くが苦手とする行政法だったので、合格率を押し上げたことは予想できます。それと、配点の高い記述式問題が、前年度と比べ、難易度が下がっていました。前年の試験では、試験の難易度が高かったため、補正的措置(救済措置のこと)がとられました。試験研究センターからは、「本年度の合格基準は、試験問題の難易度を評価し、補正的措置を講じてあります。」と発表されました。特に、配点の高い記述式問題と出題数の多い民法が例年より難しかったからでしょう。例年の合格基準であったならば、3〜4%ぐらいの合格率だったと予想します。この前年の反動があって、平成27年度試験は、難易度が下がったということも言えるのかも知れません。今後、どうなるかは分かりませんが、行政書士試験にどうしても合格したいのであれば、早目に(再)スタートを切るべきだと思います。

2.それぞれの出題分野別について、概観してみます。

(1)法令等5肢択一式
 40問の出題でしたが、前年度の法令別出題数内訳と同じでした。個数問題は前年度3問でしたが、今回は皆無でした。組合せ問題は前年度10問から12問に増加しました。個数問題は全ての肢の正誤が判明しないと正解できないので、個数問題がなかったことは、難易度が下がったことに影響しているでしょう。一方、組合せ問題は、中途半端な知識で解くと、堂々巡りになりやすく時間だけ掛かることになりがちです。そして、民法を初めてして、これまでの過去問にない難問が出題されました。一方で、各法律の条文や基本的な判例の知識で正解できる問題も多かったので、コツコツと丁寧に勉強した受験生は7割前後は正解できたと思われます。配点は、各問2点の合計80点でした。

(2)法令等多肢選択式
 3問の出題でした。昨年と比較して、同レベルの問題でした。過去問の選択肢として出されたことのある問題や法的思考力、国語力で解けるものだったので、全問正解できた受験生も多かったでしょう。そして配点は、各問4つの空欄があるので、8点(2×4)、3問で24点満点でした。

(3)法令等記述式
 3問の出題でしたが、昨年と比較して、かなり難易度の低い問題でした。前年のような、地方自治法からの出題や、解答形式がこれまでと違ったものはありませんでした。出題の内容は、過去問で出題されたことのある論点の発展的な内容とみることはできます。しかし、択一問題を解く知識があっても、キーワードを考えてそれを正確に記述することは、それほど簡単ではありません。つまり、論点を外さずに正確に記述するには択一で正解する知識以上の法的思考力が求められます。また、法令用語の漢字も正確に記載しなければなりません。つまり、記述対策として法令用語の理解と書く練習をしていたかどうかで得点が大きく異なったと思われます。半分以上の点数が稼げた受験生は多いと思われます。 配点は、1問20点、3問で60点満点でした。

(4)一般知識等5肢択一式
 出題は全部で14問でした。試験案内にあった「政治・経済・社会」から7問、「情報通信・個人情報保護」から4問、「文章理解」から3問でした。昨年とまでより、「政治・経済・社会」が1問減り、「情報通信・個人情報保護」が1問増えています。個数問題がなくなり、組合せ問題が5問ありましたが、その他の問題は基本的な問題でした。ただ、最後の文章理解3問は、堂々巡りになりやすい組合せ問題で長文だったので、本試験の最後の時間で解くにはたいへんだったかも知れません。よって、このような文章理解の問題は、頭が疲れていない、試験時間の前半で解くのが賢明でしょう。
 合格するには、全14問の内6割以上、つまり6問の正解が必要です。日頃から新聞などを読み、時事用語などをチェックしていた受験生は、確実にクリアーできたでしょうが、何ら対策をしていなかった受験生は、いわゆる「足切り」となった可能性があります。また、個人情報保護に関する問題は、法令科目と考えるべきでしょう。配点は、1問4点で、14問で56点満点でした。
 

3.今後の行政書士試験はどうなるのでしょうか。

 将来、行政書士が司法制度の一角を担えるよう、日本行政書士会連合会では活動しています。その対策の1つとして、平成18年度から試験科目の見直しがされたのでしょう。また、新たに、行政不服申立ての代理権が認められ、「特定行政書士」の制度が始まります。これらのことより、「法律知識」を問う問題から、「法律に関する理解力・思考力」を問う問題に変更になってきました。つまり、より深く勉強する必要があるということです。そして、平成26年度もその延長線上の試験でした。
 それとはっきり言えることは、平成14年度のような「合格率19%」など二度とあり得ないということです。一方で、毎年の合格率が2〜3%では、受験生が減少するだけです。このような合格率の上下変動が起きる原因は、合格基準点を前もって決めているからです。これまでの試験では、6割正解等の基準点に達すれば全員合格でした。一方、毎年の試験問題の難易度を同一レベルにすることは簡単ではありません。また、出題ミスがあれば全員配点となり合格率が一気にアップしてしまいます。
 行政書士試験研究センターと日本行政書士連合会は、受験生の増加と行政書士会員の増加は歓迎しています。一方、急激な会員増加を望んでいる訳ではないでしょう。よって今後は、合格基準点は統一するけれども、予定合格率が極端に低い(2〜3%)場合にだけ補正的措置を加えて、例えば4〜8%前後の合格率でもって合格者を一定に保つような制度に変更となるのではないかと予想します。試験が簡単になるという意味ではありません。行政書士試験受験生と行政書士会会員が毎年微増するような試験を実施するだろう、ということです。

4.平成28年度の試験に向けて

 以上のように、平成27年度試験は、コツコツと勉強した受験生が確実に合格したであろう適性な試験だったと思っています。
 そこで、今回初めて行政書士試験を受験される方に、次のようなアドバイスをします。
(1)試験科目が変更された今後も、一般知識等の基準点は継続になります。よって、一般知識等の基準点クリアーを最優先させてください。一般知識等の基準点で不合格となる受験生が多いからです。文章理解や公民(政治・経済・社会)など中学・高校時代に勉強したことを思い出すと共に、日経新聞や時事用語辞典等をチェックし続けるしかありません。一般知識等は力が付くまで時間が掛かりますが、対策を講じないと何ら力は付きません。そして、一般知識等の基準点をクリアーしなければ、法令科目をいくら勉強しても意味がないのです。
(2)法令科目については、やはり過去問と条文、判例です。今まで出題された条文とその前後の条文を確認します。また、テキスト等に出てきた条文や判例を小まめにチェックしましょう。また、条文や判例を読む際は「この用語は記述式や多肢選択式に出そうだ」などと考えながら確認してください。
(3)法令科目のうち、多くの受験生が苦手にするのは行政法(地方自治法を含む)です。何故なら範囲が広くイメージしづらいからです。一方で、法令科目のうち一番出題数が多いのも行政法です。よって、法令科目で一番力を入れるべきなのは行政法です。行政書士になるための試験が行政書士試験であって、行政書士の主要業務の一つが行政機関への許認可申請です。許認可申請での前提となる基礎知識が行政法だからです。また、会社法(商法)も今後確実に難しくなると予想されます。

5.最後に

 行政書士資格塾の独学講座その他の内容は、平成16年度までは有料講座でした。有料講座を維持するための手間や費用を総合的に判断し、無料公開することにしました。「タダより高いものはない」「安かろう、悪かろう」にはしたくありません。多くの受験生が、当サイトを受験勉強の羅針盤として活用して頂き、合格されることを期待しています。平成28年度試験対策用に早急に更新して参ります。

資格予備校 行政書士 宮崎 信幸