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H20/1/29 更新

合格率8.6%の意味するもの

平成19年度試験の合格率は8.6%でした。一方、平成18年度試験の合格率は4.9%でした。平成18年度からの新しい合格基準で、「合格基準については、問題の難易度を評価し、補正的措置を加えることもあります。」という案内があったにも拘らず、両年度ともそのままでした。ということは、「合格率4.8%と8.6%」は適切な基準であるという判断でしょう。よって今後も、合格率5〜9%前後を維持する試験内容にしますという宣言であると判断します。

では何故、合格率がこのように上下するのでしょうか。平成18年度の本試験直後は、予想よりも難しくない試験だったという反応が多かった気がします。多くの資格試験予備校のコメントもそうでした。そのような試験内容にも拘らず、低い合格率だった原因の一つは、「新しい試験制度への対策が不十分だった」と判断します。中でも、記述式問題の対策が不十分で、正確な記述ができなかったことが大きかったのではないでしょうか。記述式問題は択一式の5問分の点数があります。また、記述するには択一で正解できる以上の正確な知識が必要です。法令キーワードなどを書く練習も必要です。そして、記述式を1問間違うと、その埋合せとして択一で8問の正解が必要になるのです。択一(4点×8)÷(32点+記述式20点)=61%。結果として平成18年度試験では、多くの受験生が記述式対策が不十分だったものと判断します。

そして、新試験制度2年目の平成19年度試験の合格率8.6%は、この記述試験対策が受験生の多くでなされ、また、5肢択一式でも平均的な問題が多かったことなどが原因と判断します。そして、現在の行政書士試験は競争試験ではなく、絶対評価の試験なので、今後も合格率の上下変動は予想されます。

平成19年度試験の合格基準

 (1)合格基準
次の要件のいずれも満たした者を合格とする。
@ 行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、122点以上(満点の50%)である者。
A 行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、24点以上(満点の40%、6問)である者。
B 試験全体の得点が、180点以上(満点の60%)以上である者。

平成18年度試験の改正について

平成18年度より、行政書士試験制度が改正になりました。詳しくは、こちらをご覧ください。法令科目では、今までやさししめだった行政書士法や戸籍法などが除外される一方、出題数は6問増えました。ただ、これらの法令等は一般知識等として出題される可能性があるという案内でしたが、平成19年度も一切出題されませんでした。そして、一般知識等では数学などの自然科学と漢字がなくなり、出題数も14問と少なくなりました。
特に、試験時間は3時間に延長になったことにより、出題内容がより細かく難しくなるのは明らかです。

平成20年度試験に向けて(19年度試験を振り返って)

1.平成19年度の行政書士試験は、「記述式の一部の問題を除き適性な試験」だったと評価します。

2.それぞれの出題分野別について、概観してみます。

(1)法令等5肢択一式
40問の出題でしたが、前年度の出題数内訳とほぼ同じでした。個数問題も前年度と同様6問であり、極端な難問ばかりでもなく、いわゆる良問の出題だったようです。各法律の条文や基本的な判例の知識で正解できる問題も多かったので、コツコツと丁寧に勉強した受験生は6割以上正解できたと思われます。
配点は、各問2点の合計80点でした。

(2)法令等多肢選択式
3問の出題でしたが、昨年度新しく導入された出題方法なので、今年度は戸惑った受験生も少なかったようです。3問とも過去問の選択肢として出されたことのある問題でした。全問正解できた受験生も多かったでしょう。そして配点は、各問4つの空欄があるので、8点(2×4)でした。

(3)法令等記述式
3問の出題でしたが、問題44と46の論点は基本的な内容でした。ただ、論点を外さずに正確に記述するには択一で正解する知識以上の理解が求められます。一方、問題45については、行政書士試験の択一問題では出題されたことのない内容でした。それでも、「正当防衛」に関する問題であると判断できなくても、「不法行為」というキーワードが記述されていれば、部分点があった可能性はあります。よって、記述対策として法令用語の理解と書く練習をしていたかどうかで得点が大きく異なったと思われます。 配点は、1問20点でした。

(4)一般知識等5肢択一式
出題は全部で14問でした。試験案内にあった「政治・経済・社会」から6問、「情報通信・個人情報保護」から5問、「文章理解」から3問でした。個数問題が2問ありましたが、その他の問題は基本的な問題でした。ただ、最後の文章理解3問は長文でした。問1から順番に解いた後の長文はたいへんだったと思います。このような長文は頭が疲れていない時間帯に解いたほうが良いでしょう。問題を解く順番というテクニックも必要だと思わせる出題順番でした。
合格するには、全14問の内4割以上、つまり6問の正解が必要です。新聞などを読み、時事用語などをチェックしていた受験生は、確実にクリアーできたでしょうが、何ら対策をしていなかった受験生は、いわゆる「足切り」となった可能性があります。

3.今後の行政書士試験はどうなるのでしょうか。

将来、行政書士が司法制度の一角を担えるよう、総務省や日本行政書士会連合会では活動しています。その対策の1つとして、平成18年度から試験科目の見直しがされたのでしょう。「法律知識」を問う問題から、「法律に関する理解力・思考力」を問う問題に変更になりました。つまり、より深く勉強する必要があるということです。そして、平成19年度もその延長線上の試験でした。
それとはっきり言えることは、平成14年度のような「合格率19%」など二度とあり得ないということです。一方で、毎年の合格率が2〜3%では、受験生が減少するだけです。このような合格率の上下変動が起きる原因は、合格基準点を前もって決めているからです。これまでの試験では、6割正解等の基準点に達すれば合格でした。毎年の試験問題の難易度を同一レベルにすることは簡単ではありません。また、出題ミスがあれば全員配点となり合格率がアップしてしまいます。
行政書士試験研究センターと日本行政書士連合会は、受験生の増加と行政書士会員の増加は歓迎しています。一方、急激な会員増加を望んでいる訳ではありません。よって今後は、合格点は統一するけれども、補正的措置を加えて、例えば5〜9%前後の合格率でもって合格者を一定に保つような制度に変更となるのではないかと予想します。試験が簡単になるという意味ではありません。行政書士試験受験生と行政書士会会員が毎年微増するような試験を実施するだろう、ということです。

4.平成20年度の試験に向けて

以上のように、平成19年度試験は、コツコツと勉強した受験生が確実に合格したであろう適性な試験だったと思っています。
そこで、今回初めて行政書士試験を受験される方に、次のようなアドバイスをします。
(1)試験科目が変更された今後も、一般知識等の基準点は継続になります。よって、一般知識等の基準点クリアーを最優先させてください。一般知識等の基準点で不合格となる受験生が多いからです。文章理解や公民(政治・経済・社会)など中学・高校時代に勉強したことを思い出すと共に、日経新聞や時事用語辞典等をチェックし続けるしかありません。一般知識等は力が付くまで時間が掛かりますが、対策を講じないと何ら力は付きません。そして、一般知識等の基準点をクリアーしなければ、法令科目をいくら勉強しても意味がないのです。
(2)法令科目については、やはり過去問と条文、判例です。今まで出題された条文とその前後の条文を確認します。また、テキスト等に出てきた条文や判例を小まめにチェックしましょう。また、条文や判例を読む際は「この用語は記述式や多肢選択式に出そうだ」などと考えながら確認してください。
(3)法令科目のうち、多くの受験生が苦手にするのは行政法(地方自治法を含む)です。何故なら範囲が広くイメージしづらいからです。一方で、法令科目のうち一番出題数が多いのも行政法です。よって、法令科目で一番力を入れるべきなのは行政法です。行政書士になるための試験が行政書士試験であって、行政書士の主要業務の一つが行政機関への許認可申請です。許認可申請での前提となる基礎知識が行政法だからです。

5.最後に

行政書士資格塾の独学講座その他の内容は、平成16年度までは有料講座でした。有料講座を維持するための手間や費用を総合的に判断し、無料公開することにしました。「タダより高いものはない」「安かろう、悪かろう」にはしたくありません。多くの受験生が、当サイトを受験勉強の羅針盤として活用して頂き、合格されることを期待しています。平成20年度試験対策用に早急に更新して参ります。

資格予備校 電脳講師 宮崎信幸