平成27年度 行政書士試験問題 1

問題1〜10 11〜20 21〜30 31〜40 多肢選択式 記述式 一般知識

正解例

法令等[問題1〜問題40は択一式(5肢択一式)]

問題1 第二次世界大戦後に日本で生じた法変動に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 敗戦後の住宅難に対応するため借地法と借家法が制定された。
2 労働者の権利を拡張するものとして労働組合法が制定された。
3 公正で自由な経済的競争を促進する目的で独占禁止法*が制定された。
4 地方自治を強化するものとして地方自治法が制定された。
5 英米法的な観点を加えた新しい刑事訴訟法が制定された。
(注)* 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

問題2 裁判には、「判決」、「決定」および「命令」の形式上の区別がある。これらの裁判の形式上の区別に関する次の記述のうち、明らかに妥当でないものはどれか。

1 「判決」とは、訴訟事件の終局的判断その他の重要な事項について、裁判所がする裁判であり、原則として口頭弁論(刑事訴訟では公判と呼ばれる。以下同じ。)に基づいて行われる。
2 「決定」とは、訴訟指揮、迅速を要する事項および付随的事項等について、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判所がする裁判であり、口頭弁論を経ることを要しない。
3 「命令」は、「決定」と同じく、「判決」よりも簡易な方式で行われる裁判であるが、裁判所ではなく個々の裁判官が機関としてする裁判であり、口頭弁論を経ることを要しない。
4 「判決」には、家事事件および少年事件について、家庭裁判所がする審判も含まれ、審判は原則として口頭弁論に基づいて行われる。
5 「判決」の告知は、公開法廷における言渡し、または宣告の方法により行われるが、「決定」および「命令」の告知は、相当と認められる方法により行うことで足りる。

問題3 外国人の人権に関する次の文章のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らし、妥当でないものはどれか。

1 国家機関が国民に対して正当な理由なく指紋の押捺を強制することは、憲法13条の趣旨に反するが、この自由の保障はわが国に在留する外国人にまで及ぶものではない。
2 わが国に在留する外国人は、憲法上、外国に一時旅行する自由を保障されているものではない。
3 政治活動の自由は、わが国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼす活動等、外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶ。
4 国の統治のあり方については国民が最終的な責任を負うべきものである以上、外国人が公権力の行使等を行う地方公務員に就任することはわが国の法体系の想定するところではない。
5 社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、その政治的判断によってこれを決定することができる。

問題4 次の文章は、基本的人権の分類についてかつて有力であったある考え方を整理・要約したものである。1〜5は、この分類ではいずれも「生存権的基本権」と関係があるが、その本来的な特徴を備えているとはいえないものが一つだけ含まれている。それはどれか。
我妻栄は、基本的人権を、大きく、「自由権的基本権」と「生存権的基本権」に二分し、憲法25条から28条までの権利を生存権的基本権に分類するとともに、自由権的基本権には、各種の自由権や法の下の平等のほか、請願権、国家賠償請求権、刑事補償請求権、公務員の選定・罷免権などが、「自由権的基本権を確保するための諸権利」として一緒に分類されている。「自由権的基本権」と「生存権的基本権」とを区別するにあたっては、基本的人権の歴史的推移に着目し、第一に、基本的人権の内容について、前者が「自由」という色調をもつのに対して、後者は「生存」という色調をもつという差異があること、第二に、基本的人権の保障の方法について、前者が「国家権力の消極的な規制・制限」であるのに対して、後者は「国家権力の積極的な配慮・関与」であることを指摘している。(中略)
我妻説が、19世紀的自由権的基本権と20世紀的生存権的基本権とを截然と二分し、両者が異質の権利であるという面を強調したのに対して、今日では、社会権と自由権との区分の有用性を認めたうえで、社会権と自由権の区別が相対的であり、社会権に自由権的な側面が存在することは、一般的に認められるに至っている。
(中村睦男『社会権の解釈』(1983年)4-9頁)

1 国による生活保護の給付
2 無償による義務教育の提供
3 勤労条件の法律による保障
4 争議行為の刑事免責
5 社会保障制度の充実

問題5 次の文章は、自衛隊基地建設のために必要な土地の売買契約を含む土地取得行為と憲法9条の関係を論じた、ある最高裁判所判決の一部である(原文を一部修正した。)。ア〜オの本来の論理的な順序に即した並び順として、正しいものはどれか。
ア 憲法9条の宣明する国際平和主義、戦争の放棄、戦力の不保持などの国家の統治活動に対する規範は、私法的な価値秩序とは本来関係のない優れて公法的な性格を有する規範である。
イ 私法的な価値秩序において、憲法9条の宣明する国際平和主義、戦争の放棄、戦力の不保持などの国家の統治活動に対する規範が、そのままの内容で民法90条にいう「公ノ秩序」の内容を形成し、それに反する私法上の行為の効力を一律に否定する法的作用を営むということはない。
ウ 憲法9条の宣明する国際平和主義、戦争の放棄、戦力の不保持などの国家の統治活動に対する規範は、私法的な価値秩序のもとで確立された私的自治の原則、契約における信義則、取引の安全等の私法上の規範によって相対化され、民法90条にいう「公ノ秩序」の内容の一部を形成する。
エ 憲法9条の宣明する国際平和主義、戦争の放棄、戦力の不保持などの国家の統治活動に対する規範にかかわる私法上の行為については、私法的な価値秩序のもとにおいて、社会的に許容されない反社会的な行為であるとの認識が、社会の一般的な観念として確立しているか否かが、私法上の行為の効力の有無を判断する基準になるものというべきである。
オ 憲法9条は、人権規定と同様、国の基本的な法秩序を宣示した規定であるから、憲法より下位の法形式によるすべての法規の解釈適用に当たって、その指導原理となりうるものであることはいうまでもない。

1 ア イ ウ エ オ
2 イ ウ エ オ ア
3 ウ エ オ ア イ
4 エ オ ア イ ウ
5 オ ア イ ウ エ

問題6 司法権の限界に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らし、妥当でないものはどれか。

1 具体的な権利義務ないしは法律関係に関する紛争であっても、信仰対象の価値または教義に関する判断が前提問題となる場合には、法令の適用による解決には適さず、裁判所の審査は及ばない。
2 大学による単位授与行為(認定)は、純然たる大学内部の問題として大学の自律的判断にゆだねられるべきものであり、一般市民法秩序と直接の関係を有すると認めるにたる特段の事情がない限り、裁判所の審査は及ばない。
3 衆議院の解散は高度の政治性を伴う国家行為であって、その有効無効の判断は法的に不可能であるから、そもそも法律上の争訟の解決という司法権の埓外にあり、裁判所の審査は及ばない。
4 政党の結社としての自律性からすると、政党の党員に対する処分は原則として自律的運営にゆだねるべきであり、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的問題にとどまる限りは、裁判所の審査は及ばない。
5 地方議会議員の出席停止処分は、除名とは異なり議員の権利行使の一時的制約にすぎず、議会の内部規律の問題として自治的措置にゆだねるべきであるから、裁判所の審査は及ばない。

問題7 財政に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1 国費の支出は国会の議決に基づくことを要するが、国による債務の負担は直ちに支出を伴うものではないので、必ずしも国会の議決に基づく必要はない。
2 予算の提出権は内閣にのみ認められているので、国会は予算を修正することができず、一括して承認するか不承認とするかについて議決を行う。
3 予見し難い予算の不足に充てるため、内閣は国会の議決に基づき予備費を設けることができるが、すべての予備費の支出について事後に国会の承認が必要である。
4 予算の公布は、憲法改正・法律・政令・条約の公布と同様に、憲法上、天皇の国事行為とされている。
5 国の歳出の決算は毎年会計検査院の検査を受けなければならないが、収入の見積もりにすぎない歳入の決算については、会計検査院の検査を受ける必要はない。

問題8 裁判による行政上の義務履行確保について、最高裁判所の判決に照らし、妥当な記述はどれか。

1 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は、法令の適用により終局的に解決することができないから、法律上の争訟に該当しない。
2 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は、このような訴訟を提起することを認める特別の規定が法律にあれば、適法となりうる。
3 国又は地方公共団体が財産権の主体として国民に対して義務履行を求める訴訟は、終局的には、公益を目的とするものであって、自己の権利利益の保護救済を目的とするものではないから、法律上の争訟には該当しない。
4 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は、行政上の義務履行確保の一般法である行政代執行法による代執行が認められる場合に限り、不適法である。
5 国又は地方公共団体が財産権の主体として国民に対して義務履行を求める訴訟は、法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるわけではないが、現行法上、こうした訴訟を認める特別の規定があるため、提起することが許されている。

問題9 国と国家公務員との法律関係に関する次の記述のうち、最高裁判所の判決に照らし、正しいものはどれか。

1 国と国家公務員は特別な社会的接触の関係にあるので、公務災害の場合、国は、一般的に認められる信義則上の義務に基づいて賠償責任を負うことはない。
2 安全配慮義務は私法上の義務であるので、国と国家公務員との間の公務員法上の関係においては、安全配慮義務に基づく責任は認められない。
3 公務災害に関する賠償は、国の公法上の義務であるから、これに民法の規定を適用する余地はない。
4 公務災害に関する賠償については、国家賠償法に基づく不法行為責任が認められる場合に限られ、上司等の故意過失が要件とされる。
5 公務災害に関わる金銭債権の消滅時効期間については、早期決済の必要性など行政上の便宜を考慮する必要がないので、会計法の規定は適用されず、民法の規定が適用される。

問題10 行政立法に関する次の会話の空欄[ア]〜[エ]に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。
教員A「今日は行政立法に関して少し考えてみましょう。B君、行政立法の具体例をいくつか挙げることができますか?」
学生B「そうですね。建築基準法施行規則や所得税基本通達があります。」
教員A「よく知ってぃますね。建築基準法施行規則はその名のとおり建築基準法の委任に基づき定められた[ア]ですね。国民の権利義務に関わる規定を含むものですから、講学上は[イ]に分類されます。Cさん、所得税基本通達は何に分類されるでしょうか?」
学生C「所得税基本通達は、国税庁内部で上級機関が下級機関に発する事務処理の取決めのことですから、[ウ]でしょうか?
教員A[そのとおりですね。では、[イ]の中には、性質の異なる二種類のものがあることを知っていますか?」
学生B・C「どういうことでしょうか?」
教員A「質問の仕方を変えると、[イ]の中には、新たに権利義務を設定するのではなく、法律を実施するための技術的細目を定めるものがありますよね。」
学生B「[エ]のことですね。申請書の様式を定める規定がこれにあたると言われています。」
教員A「正解です。ただ、このような分類枠組みについては今日では疑問視されていることにも注意してください。」

   ア    イ    ウ    エ
1 省令 法規命令 行政規則 執行命令
2 省令 行政規則 法規命令 委任命令
3 政令 法規命令 行政規則 委任命令
4 政令 行政規則 法規命令 執行命令
5 政令 法規命令 行政規則 独立命令

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