平成28年度 行政書士試験問題 1

問題1〜10 11〜20 21〜30 31〜40 多肢選択式 記述式 一般知識

解答速報・リンク集

法令等[問題1〜問題40は択一式(5肢択一式)]

問題1 次の文章は、裁判員制度に関する最高裁判所判決の一節(一部を省略)である。空欄[ア]〜[エ]に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。
裁判は、証拠に基づいて事実を明らかにし、これに法を適用することによって、人の権利義務を最終的に確定する国の作用であり、取り分け、刑事裁判は、人の生命すら奪うことのある強大な国権の行使である。そのため、多くの近代[ア]国家において、それぞれの歴史を通じて、刑事裁判権の行使が適切に行われるよう種々の原則が確立されてきた。基本的人権の保障を重視した憲法では、特に31条から39条において、・・・適正な刑事裁判を実現するための諸原則を定めており、そのほとんどは、各国の刑事裁判の歴史を通じて確立されてきた普遍的な原理ともいうべきものである。刑事裁判を行うに当たっては、これらの諸原則が厳格に遵守されなければならず、それには高度の[イ]が要求される。憲法は、これらの諸原則を規定し、かつ、[ウ]の原則の下に、「第6章司法」において、裁判官の職権行使の独立と身分保障について周到な規定を設けている。こうした点を総合考慮すると、憲法は、刑事裁判の基本的な担い手として裁判官を想定していると考えられる。
他方、歴史的、国際的な視点から見ると、欧米諸国においては、上記のような手続の保障とともに、18世紀から20世紀前半にかけて、[ア]の発展に伴い、[エ]が直接司法に参加することにより裁判の[エ]的基盤を強化し、その正統性を確保しようとする流れが広がり、憲法制定当時の20世紀半ばには、欧米の[ア]国家の多くにおいて陪審制か参審制が採用されていた。(最大判平成23年11月16日刑集65巻8号1285頁)

    ア     イ     ウ     エ
1 民主主義  法的専門性  三権分立   国民
2 立憲主義  政治性    法的安定性  法曹
3 自由主義  法的専門性  三権分立   国民
4 民主主義  政治性    法的安定性  法曹
5 立憲主義  法的専門性  三権分立   国民

問題2 法律の形式に関する次のア〜オの記述のうち、現在の立法実務の慣行に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。
ア 法律は、「条」を基本的単位として構成され、漢数字により番号を付けて条名とするが、「条」には見出しを付けないこととされている。
イ 「条」の規定の中の文章は、行を改めることがあり、そのひとつひとつを「項」という。
ウ ひとつの「条」およびひとつの「項」の中で用語等を列挙する場合には、漢数字により番号を付けて「号」と呼ぶが、「号」の中で用語等を列挙する場合には、片仮名のイロハ順で示される。
エ 法律の一部改正により特定の「条」の規定をなくす場合において、その「条」の番号を維持し、その後の「条」の番号の繰り上げを避けるときは、改正によってなくす規定の「条」の番号を示した上で「削除」と定めることとされている。
オ 法律の一部改正により新たに「条」の規定を設ける場合には、その新しい「条」の規定の内容が直前の「条」の規定の内容に従属しているときに限り、その新しい「条」には直前の「条」の番号の枝番号が付けられる。

1 ア・イ
2 ア・オ
3 イ・ウ
4 ウ・エ
5 エ・オ

問題3 次の文章は、最高裁判所判決の一節である。これを読んで空欄[ア]〜[ウ]に正しい語を入れ、その上で、[ア]〜[ウ]を含む文章として正しいものを、選びなさい。
最高裁判所裁判官任命に関する国民審査の制度はその実質において所謂[ア]の制度と見ることが出来る。それ故本来ならば[イ]を可とする投票が有権者の総数の過半数に達した場合に[イ]されるものとしてもよかつたのである。それを憲法は投票数の過半数とした処が他の[ア]の制度と異るけれどもそのため[ア]の制度でないものとする趣旨と解することは出来ない。只[イ]を可とする投票数との比較の標準を投票の総数に採つただけのことであつて、根本の性質はどこ迄も[ア]の制度である。このことは憲法第七九条三項の規定にあらわれている。同条第二項の字句だけを見ると一見そうでない様にも見えるけれども、これを第三項の字句と照し会せて見ると、国民が[イ]すべきか否かを決定する趣旨であつて、所論の様に[ウ]そのものを完成させるか否かを審査するものでないこと明瞭である。(最大判昭和27年2月20日民集6巻2号122頁)

1 [ア]は、レファレンダムと呼ばれ、地方公共団体の首長などに対しても認められる。
2 [ア]に入る語は罷免、[ウ]に入る語は任命である。
3 憲法によれば、公務員を[ア]し、およびこれを[イ]することは、国民固有の権利である。
4 憲法によれば、内閣総理大臣は、任意に国務大臣を[ア]することができる。
5 憲法によれば、国務大臣を[ウ]するのは、内閣総理大臣である。

問題4 最高裁判所は、平成11年に導入された住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)について、これが憲法13条の保障する自由を侵害するものではない旨を判示している(最一小判平成20年3月6日民集62巻3号665頁)。次の記述のうち、判決の論旨に含まれていないものはどれか。

1 憲法13条は、国民の私生活上の自由が公権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しており、何人も個人に関する情報をみだりに第三者に開示または公表されない自由を有する。
2 自己に関する情報をコントロールする個人の憲法上の権利は、私生活の平穏を侵害されないという消極的な自由に加えて、自己の情報について閲覧・訂正ないし抹消を公権力に対して積極的に請求する権利をも包含している。
3 氏名・生年月日・性別・住所という4情報は、人が社会生活を営む上で一定の範囲の他者には当然開示されることが予定されている個人識別情報であり、個人の内面に関わるような秘匿性の高い情報とはいえない。
4 住基ネットによる本人確認情報の管理、利用等は、法令等の根拠に基づき、住民サービスの向上および行政事務の効率化という正当な行政目的の範囲内で行われているものということができる。
5 住基ネットにおけるシステム技術上・法制度上の不備のために、本人確認情報が法令等の根拠に基づかずにまたは正当な行政目的の範囲を逸脱して第三者に開示・公表される具体的な危険が生じているということはできない。

問題5 立法に関する次の記述のうち、必ずしも憲法上明文では規定されていないものはどれか。

1 出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
2 内閣は、法律案を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
3 両議院の議員は、議院で行った演説、討論または表決について、院外で責任を問われない。
4 両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
5 衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。

問題6 信教の自由・政教分離に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、最も妥当なものはどれか。

1 憲法が国およびその機関に対し禁ずる宗教的活動とは、その目的・効果が宗教に対する援助、助長、圧迫、干渉に当たるような行為、あるいは宗教と過度のかかわり合いをもつ行為のいずれかをいう。
2 憲法は、宗教と何らかのかかわり合いのある行為を行っている組織ないし団体であれば、これに対する公金の支出を禁じていると解されるが、宗教活動を本来の目的としない組織はこれに該当しない。
3 神社が主催する行事に際し、県が公費から比較的低額の玉串料等を奉納することは、慣習化した社会的儀礼であると見ることができるので、当然に憲法に違反するとはいえない。
4 信仰の自由の保障は私人間にも間接的に及ぶので、自己の信仰上の静謐を他者の宗教上の行為によって害された場合、原則として、かかる宗教上の感情を被侵害利益として損害賠償や差止めを請求するなど、法的救済を求めることができる。
5 解散命令などの宗教法人に関する法的規制が、信者の宗教上の行為を法的に制約する効果を伴わないとしてもそこに何らかの支障を生じさせるならば、信教の自由の重要性に配慮し、規制が憲法上許容されるか慎重に吟味しなければならない。

問題7 法の下の平等に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1 憲法が条例制定権を認める以上、条例の内容をめぐり地域間で差異が生じることは当然に予期されることであるから、一定の行為の規制につき、ある地域でのみ罰則規定が置かれている場合でも、地域差のゆえに違憲ということはできない。
2 選挙制度を政党本位のものにすることも国会の裁量に含まれるので、衆議院選挙において小選挙区選挙と比例代表選挙に重複立候補できる者を、一定要件を満たした政党等に所属するものに限ることは、憲法に違反しない。
3 法定相続分について嫡出性の有無により差異を設ける規定は、相続時の補充的な規定であることを考慮しても、もはや合理性を有するとはいえず、憲法に違反する。
4 尊属に対する殺人を、高度の社会的非難に当たるものとして一般殺人とは区別して類型化し、法律上刑の加重要件とする規定を設けることは、それ自体が不合理な差別として憲法に違反する。
5 父性の推定の重複を回避し父子関係をめぐる紛争を未然に防止するために、女性にのみ100日を超える再婚禁止期間を設けることは、立法目的との関係で合理性を欠き、憲法に違反する。

問題8 下記の〔設例〕に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
〔設例〕 Xは、旅館業法3条1項に基づく許可(以下「営業許可」という。)を得て、旅館業を営んでいたが、同法によって義務付けられた営業者の講ずべき衛生措置を講じなかったことを理由に、所轄都道府県知事から、同法8条1項に基づく許可の取消処分(以下「取消処分」という。)を受けた。
(参照条文)
旅館業法
第3条第1項 旅館業を経営しようとする者は、都道府県知事・・・の許可を受けなければならない。(以下略)
第8条第1項 都道府県知事は、営業者が、この法律若しくはこの法律に基づく処分に違反したとき・・・は、同条〔注:旅館業法第3条〕第1項の許可を取り消〔す〕・・・ことができる。(以下略)
ア Xに対してなされた取消処分は、違法になされた営業許可を取り消し、法律による行政の原理に反する状態を是正することを目的とする行政行為である。
イ Xに対してなされた取消処分は、いったんなされた営業許可を前提とするものであるから、独立の行政行為とはみなされず、行政手続法が規定する「処分」にも当たらない。
ウ Xに対してなされた取消処分が取消判決によって取り消された場合に、Xは、営業許可がなされた状態に復し、従前どおり営業を行うことができる。
エ Xに対してなされた取消処分によって、Xが有していた営業許可の効力は、それがなされたときにさかのぼって効力を失うことになる。
オ Xに対してなされた取消処分は、営業許可がなされた時点では瑕疵がなかったが、その後においてそれによって成立した法律関係を存続させることが妥当ではない事情が生じたときに、当該法律関係を消滅させる行政行為である。

1 ア・ウ
2 ア・エ
3 イ・エ
4 イ・オ
5 ウ・オ

問題9 行政裁量に関する最高裁判所の判例について、次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、制度は、判決当時のものである。

1 外国人が在留期間中に日本で行った政治活動のなかに、わが国の出入国管理政策に対する非難行動あるいはわが国の基本的な外交政策を非難し日米間の友好関係に影響を及ぼすおそれがないとはいえないものが含まれていたとしても、それらは憲法の保障が及ぶ政治活動であり、このような活動の内容を慎重に吟味することなく、在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるものとはいえないと判断した法務大臣の判断は、考慮すべき事項を考慮しておらず、その結果、社会観念上著しく妥当を欠く処分をしたものであり、裁量権の範囲を越える違法なものとなる。
2 学生が信仰上の理由によりした剣道実技の履修拒否について、正当な理由のない履修拒否と区別することなく、代替措置が不可能というわけでもないのに、代替措置について何ら検討することもなく原級留置処分をし、さらに、退学処分をした公立高等専門学校の校長の措置は、考慮すべき事項を考慮しておらず、又は考慮された事実に対する評価が明白に合理性を欠き、その結果、社会観念上著しく妥当を欠く処分をしたものであり、原級留置処分と退学処分は裁量権の範囲を越える違法なものとなる。
3 個人タクシー事業の免許に当たり、多数の申請人のうちから少数特定の者を具体的個別的事実関係に基づき選択してその免許申請の許否を決しようとするときには、道路運送法の規定の趣旨に沿う具体的審査基準を設定してこれを公正かつ合理的に適用すべきであり、この基準の内容が高度の認定を要するものである等の場合は、基準の適用上必要とされる事項について聴聞その他適切な方法により申請人に対しその主張と証拠提出の機会を与えるべきであって、これに反する審査手続により免許申請を却下したときは、公正な手続によって免許申請の許否につき判定を受けるべき申請人の法的利益を侵害したものとして、当該却下処分は違法となる。
4 原子炉施設の安全性に関する処分行政庁の判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理・判断は、原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の専門技術的な調査審議及び判断を基にしてされた処分行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らし、調査審議において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、あるいは当該原子炉施設がその具体的審査基準に適合するとした原子力委員会若しくは原子炉安全専門審査会の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤・欠落があり、行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、処分行政庁の判断に不合理な点があるものとして、その判断に基づく原子炉設置許可処分は違法となると解すべきである。
5 裁判所が懲戒権者の裁量権の行使としてされた公務員に対する懲戒処分の適否を審査するに当たっては、懲戒権者と同一の立場に立って懲戒処分をすべきであったかどうか又はいかなる処分を選択すべきであったかについて判断し、その結果と処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、それが社会観念上著しく妥当を欠き裁量権を濫用したと認められる場合に限り、違法と判断すべきものである。

問題10 次のア〜エの記述のうち、法令および最高裁判所判例に照らし、正しいものの組合せはどれか。
ア 行政処分の取消訴訟において、処分取消判決が確定したときであっても、同一処分に関する国家賠償訴訟において、被告は、当該処分を行ったことが国家賠償法上は違法ではないと主張することは許される。
イ 行政処分が無効と判断される場合であっても、その効力の有無を争うためには抗告訴訟を提起する必要があり、当事者訴訟や民事訴訟においてただちに行政処分の無効を主張することは許されない。
ウ 行政処分が違法であることを理由として国家賠償請求をするに当たっては、あらかじめ当該行政処分について取消訴訟を提起し、取消判決を得ていなければならないものではない。
エ 行政処分の違法性を争点とする刑事訴訟において被告人が処分の違法を前提とする主張をする場合には、あらかじめ当該行政処分について取消訴訟を提起し、取消判決を得ておかなければならない。

1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・エ

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